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VIXとは何かまた何を測定するか?

ボラティリティの測定及び予測の業界基準

CBOEボラティリティ指数は一般にVIXとして知られており、近い将来における米国株式市場の価格変動(現水準からの上昇及び下落)の推定範囲を予測します。具体的には、VIXはS&P 500®(SPX)の今後30日間のインプライド・ボラティリティを測定します。インプライド・ボラティリティが高い時には、VIXの水準は高くなり、価格変動の推定範囲は広くなります。インプライド・ボラティリティが低い時には、VIXの水準は低くなり、推定範囲は狭くなります。

株式市場が最も不安定な時にはVIXが最高水準に達するので、VIXは恐怖指数とも呼ばれています。VIXがセンチメント(特に不安)を測定するという意味では、その表現は的を射ていると言えます。

インプライド・ボラティリティは通常、市場が混乱している時、または経済が不安定な時に上昇します。一方、株価が上昇し、劇的な変化が見られないような場合には、VIXは低下するか、または推定範囲の下限で安定して推移する傾向があります。言い換えれば、VIXは株式のパフォーマンスと負の相関を示します。

例えば、2008年11月に株価が急落した時、VIXは80.86の史上最高水準に達しました。一方、2013年の冬に株価が高値水準にあった時、VIXは12前後で推移していました。

VIXは何を測定するか

VIXは、広範囲のプット・オプション及びコール・オプションの加重価格を平均することにより、インプライド・ボラティリティを測定します。投資家がオプションを売買する際に、投資家が構築するポジション(プットかコールのいずれか)や、支払う価格、選択する権利行使価格など全ては、対象とする指数の水準がどのくらいの幅で、またどのくらいのスピードで変動するかに対する投資家の予想を反映します。つまり、ボラティリティは変動のペースと変動幅であると言えます。オプション価格は売り手と買い手が予想するボラティリティを反映するため、VIXでは、指数を計算する際に株価ではなく、オプション価格を使用します。インプライド・ボラティリティには投資家の予想が反映されます。

VIXを計算するために用いられるオプションはS&P 500のプット・オプションとコール・オプションです。S&P 500は米国株式の時価総額の約80%を占めており、世界で最も流動性の高い市場の1つであるメリットを有しているため、S&P 500のオプションを使うことで、VIXはボラティリティに対する現在の幅広い市場の見方を反映することが可能になります。さらに、VIXは特定のオプションの組み合わせを使用することで、オプション価格に通常影響を与えるその他全てのファクターが相殺されるように設計されています。したがって、VIXはボラティリティ予想のみを反映する指数となります。

VIXの時間枠は重要です。VIXは今後30日間にわたるS&P 500の動きを予想します。これは投資家が意思決定を行い、それに従って行動するのに十分な期間ですが、仮に重大な変化が予想される場合においても、切迫感を表す上で妥当な期間であると言えます。

プット及びコール

指数のコール・オプションを保有することで、仮に指数価値がオプションの権利行使価格を上回った場合、現金決済の権利が与えられます。

指数のプット・オプションを保有することにより、仮に指数価値がオプションの権利行使価格を下回った場合、現金決済の権利が与えられます。

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投資家がVIXを使用する理由





投資家はどのようにVIXを利用するか

ポートフォリオの分散

多くの投資家はVIXに連動する投資商品を利用することで、ポートフォリオを分散し、潜在的リターンを大幅に低下させることなしに、ポートフォリオ・リスクのヘッジを目指しています。例えば、市場が不安定な時には、投資ポートフォリオにおいて予想される損失を相殺するために、投資家はVIX先物に連動するETFやETNなどのVIX関連商品に少額の資金を配分することがあります。

第一に、分散戦略においてVIXが魅力的なのは、VIXが一貫して株式市場と負の相関を示しているからです。市場が下落すればするほど、ボラティリティは上昇します。

第二に、市場が大幅に下落する時には、VIXはより劇的に上昇する傾向があります。例えば、株式あるいはS&P 500が50%下落した場合、VIXは数百パーセントも上昇すると予想される場合があります。このようにVIXは通常、株式市場の大幅な上昇よりも大幅な下落に対してより劇的に反応する特性があり、これをコンベクシティと呼んでいます。こうしたコンベクシティを踏まえると、VIXに関連した商品に投資することにより、最も必要な時に大きなプロテクションが提供されることになります。

資産クラスとしてのボラティリティ

ボラティリティは売買することが可能です。ボラティリティは分散効果を高めるツールとして機能します。ボラティリティはプラスのリターンを提供することが可能ですが、金利や配当の支払いはありません。しかし、伝統的な資産クラスとは異なり、ボラティリティは長期投資に向いていません。

利益を上げるための取引

市場サイクルは上昇と下落のパターンを繰り返すことから、株式市場が低迷した期間の後に、投資家はVIX連動商品を売却することがあります。投資家がVIX連動商品を売却するのは、株式が上昇し始めるに伴い、ボラティリティ連動商品が下落すると予想するためです。また、VIXが低水準で推移している時には、投資家は近い将来株式が下落すると想定し、VIX連動商品の購入を望むことがあります。これらの戦略では、VIXが高水準または低水準で推移した後には平均に回帰するといった過去の傾向を活用することを目指します。

また、投資家はVIX連動商品のミスプライシングから生じる裁定機会も追求します。例えば、とりわけ個別オプションのインプライド・ボラティリティがVIXと比較して割高であるように見えた場合、投資家は個別のオプションを売却し、VIX連動商品において反対のポジションを取ります。あるいは、満期日の異なるVIXオプションまたはVIX先物において反対のポジションを取ることがあります。例えば、一部のケースでは、VIX連動オプションのプレミアムは、実現ボラティリティが示すプレミアムよりも高い、または低い場合があり、この違いを上手く利用することで収益を上げることができます。

VIXが伝えるメッセージを利用する

その他の指数と同様に、VIXは水準または数値として表示されます。水準の変化(上昇または下落)はパーセンテージとして表示されます。しかし、市場のパフォーマンスを示すその他の指数とは異なり、VIXの水準は異なるタイプの情報(S&P 500の30日間のインプライド・ボラティリティ)を伝えます。インプライド・ボラティリティは、今後30日間にわたるS&P 500の予想範囲(現在の水準からの上昇・下落)を示します。

任意の日にVIXの水準が上昇すればするほど、インプライド・ボラティリティも上昇するため、S&P 500の予想変動範囲は広がります。例えば、現在のVIXの水準を10(過去における下限)とした場合、30日間のインプライド・ボラティリティは2.9%(年率換算前)となります。これは、S&P 500が現在の水準から2.9%高い水準、及び2.9%低い水準の範囲内で推移すると予想されていることを意味します。一方、VIXの水準を30(過去における下限)とした場合、今後30日間においてS&P 500が現在の水準から8.7%高い水準、及び8.7%低い水準の範囲内で推移すると予想されていることを示唆しています。

インプライド・ボラティリティを計算するにはVIXの水準をクリックして下さい。

30日間のインプライド・ボラティリティ

VIXの水準からS&P 500の30日間のインプライド・ボラティリティを導くには、いくつかの比較的簡単なステップが必要です。図で示している通り、VIXの水準を18、現在のS&P 500の水準を1850と仮定します。

以下の図表に示されているステップに従えば、市場が今後30日間におけるS&P 500の推移をどの範囲に予想しているかを計算することができます。多くの投資家は、この情報を利用して短期取引の判断を行っています。

時間とボラティリティ

VIXは年率換算された数値で報告されます。ボラティリティは統計的に分散の平方根として定義されているので、VIXにより示唆される月次のボラティリティは、1年は12ヶ月であるため、12の平方根でVIXの水準を除することにより計算することができます。

VIXを使用してS&P 500の予想範囲を計算する方法

(ご覧いただくには以下の数値をタップしてください)
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VIXはどのように構築・計算されるか

VIXのメソドロジー

VIX、またはS&P 500の年率換算された30日間のインプライド・ボラティリティは、S&P 500のコール・オプション及びプット・オプションの特定グループの加重価格を平均することにより各取引日を通して計算されます。その他のS&Pダウ・ジョーンズ・インデックスの指数と同様に、VIXを計算するために使用されるメソドロジーは厳密で、かつ透明性の高いものですが、VIXは証券の価格の変化というよりもむしろ、ボラティリティを測定するという点でその他の指数とは異なります。

VIXの完全なメソドロジーを見る


VIXのメソドロジーでは、満期日までの日数が23日以上、かつ37日未満のS&P 500のオプションを使用して指数を計算すると規定されています。満期日までの日数が23日から37日までの標準のオプション及び週次のオプションが適格となります。

VIXを計算するために使用されるオプションは毎週1回、期先のオプションにロールします。例えば、VIXは10月の第2火曜日に、2つのオプション(24日後に満期日を迎える“期近”オプションと31日後に満期日を迎える“期先”オプション)を使って計算されます。次の日に、30暦日以内に満期日を迎えるオプションが計算において期近オプションとなります。また、37暦日以内に満期日を迎えるSPXオプションが新たな期先オプションとなります。この例では、期近オプションが、満期日までに25日間の日数を有する標準のS&P 500オプションとなる一方、期先オプションは、満期日までに32日間の日数を有する週次オプションとなります。

各VIXの計算の最初のステップでは、どのオプション(現在のSPXの水準より権利行使価格が高い及び低いオプション)を採用するかを判断します。オプションの数は計算によって異なる場合がありますが、通常、100以上のプット及びコールを採用します。採用基準を満たすには、オプションの現在の買い呼び値と売り呼び値(いわゆる気配値)がゼロではないことが条件となります。現在のSPXの水準から権利行使価格が乖離すればするほど、気配値が付く見込みが少なくなり、気配値のないオプションは除外されます。保守的な権利行使価格の2つのオプションに気配値がない時点で、構成契約が設定され、追加のオプションは採用される資格がなくなります。

次のステップでは、選択されたオプションは加重され、各オプションが計算に対して必要な影響を与えるようにします。VIXの計算式はオプションを組み合わせるように設計されており、VIXの次の動きが対象指数のボラティリティだけによって決まるような方法を採用します。S&P 500の水準や、配当、金利、またはその他の要因の変化は相殺・除外されるため、これらの要因が影響を及ぼすことはありません。ウェイト付けを正当とする明確な理由はテクニカルなものですが、結果的にはオプションの権利行使価格の2乗に逆比例して各オプションをウェイト付けする手順につながります。したがって、VIXは、権利行使価格の低いオプションの価格変化に対してより敏感となり、権利行使価格の高いオプションに対してそれほど敏感ではありません。

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VIXに関連した商品及びベンチマーク

VIXに直接投資することはできず、VIXのパフォーマンスを複製することもできません。投資家はVIXに連動する商品を利用することで、市場のリスクに対するヘッジを行い、ボラティリティを取引することが可能となります。VIXに連動する商品の例としては、S&P VIX先物指数に連動するETF及びETNや、シカゴ先物取引所(CFE)に上場している先物、シカゴ・オプション取引所(CBOE)に上場しているオプション、バリアンス・スワップといった店頭取引(OTC)が挙げられます。

これら各商品の特性やリスク水準は異なるため、投資家は各自の目的に合った商品を利用することになります。株式市場が下落すれば、VIXは上昇するため、VIXに連動する各商品の価値も上昇しますが、上昇幅は各商品によって異なります。

  • ETF及びETN
  • CBOE先物
  • CBOE
    オプション
  • VIX
    ネットワークの
    メンバー
ETFリスト ETNリスト

ETF及びETNについて

S&P 500 VIX先物指数に連動するETF及びETNが2009年に誕生して以降、投資家はこれらの商品を利用して市場の下落リスクに対して株式ポートフォリオや時には債券ポートフォリオをヘッジすること、またはボラティリティの変動から利益を狙うことが可能となりました。ETFやETNの価格が上昇すれば、ポートフォリオの損失を埋め合わせることや、収益を上げることが可能となります。

ETF及びETNの両方のリターンは、VIX自体の価値の変化というよりも、原資産となるVIX先物の価値の変化によって決まります。したがって、リターンが、実際のVIXの水準により示されるインプライド・ボラティリティと異なることや、投資家の期待から外れることはよくあります。

しかし、特徴的な市場見通しによりVIXの期先の先物価格が期近の先物価格よりも高くなることが、より大きなリスクであると言えます。こうした見通しは、VIXが低水準で推移している時に強まります。

こうした見通しが強まれば、VIX先物の投資家は期先の先物に多くの金額を支払おうとします。この状態をコンタンゴ(順鞘)と呼びます。

市場がコンタンゴの状態にある時には、期先の先物価格が期近の先物価格を上回ります。

したがって、VIXに連動する商品に投資している投資家は毎月、先物の満期日が近づくに従い、保有している先物を売却する一方で、翌限月の先物を購入します。このことをロールオーバーと呼びます。

市場がコンタンゴの状態にあり、期先の先物価格が期近の先物価格(売却する先物の価格)よりも常に高い状態にある場合、ロールオーバーに伴う損失により、投資家の元本は大幅に目減りすることになります。

このことを踏まえると、VIXに連動する商品についは、極めて短期的な投資(例えば、1日)にとどめることが望ましいと考えられます。

しかし、伝統的な指数に連動するETFやETNに投資する投資家は、バイ・アンド・ホールド戦略をとる場合が多いため、上記のようなアプローチはそれに逆行するものとなります。

新たな商品

最近、一部の発行体は、VIXに連動する商品(通常、より洗練された投資戦略に連動する商品)で、かつバイ・アンド・ホールド投資として利用するのに適する可能性のある商品を発行しました。S&P ダウ・ジョーンズ・インデックスのウェブサイトにあるVIXのページでは、VIXに連動するETF及びETFの一覧がご覧いただけます。

さらに、標準的なETFやETNの他に、レバレッジドETF(ETN)やインバースETF(ETN)を購入することも可能です。

レバレッジドETFやETNでは、原指数の2倍または3倍の日次リターンを得ることが可能であり、こうしたリターンを上げるとの目的を達成するために、デリバティブ商品を利用しています。

インバースETFやETNでは、実際のリターンとは逆の日次リターンを得ることが可能です。実際のリターンがプラスであれば、インバースETFやETNのリターンはマイナスとなり、逆の場合も同様の結果となります。

ただし、ほぼ全ての状況において、レバレッジドETF(ETN)やインバースETF(ETN)は短期的な取引ポジションをとるために利用され、極めて短期的な期間(例えば、1日)の中で監視しない限り、通常は適切な投資対象となり得ません。


ETFとETNの比較

S&P 500 VIX先物指数に連動するETFやETNは非常に流動性が高いため、その他のETFやETNと同様に、証券口座で売買することが可能です。ただし、ETFとETNは異なる商品です。

全てのETFが株式証券であるのに対し、全てのETNは債務証券であり、したがってETNに投資する投資家は、市場リスクに加えて信用リスクも負うことになります。

ETFは、原指数の先物を購入することにより、原指数に連動するリターンを目指す商品です。

ETNは、原指数のパフォーマンスに基づいてリターンを決定しますが、原指数の先物を保有することはありません。


CBOE先物

VIX先物は2004年に誕生しました。個人投資家や機関投資家は、その他の金融指数の先物を利用するのと同じように、VIX先物を利用することができます。これにより、ポートフォリオをヘッジすることや、利益を目指して投機を行うことが可能となります。VIX先物の価格は原証券や原指数のスポット価格のみに影響されるわけではなく、先物の満期日におけるVIXの水準に対する市場の予想などによっても影響を受けます。

VIX先物に投資する投資家は、CFEで取引されている価格で、特定の満期日を指定することでVIX先物の売買注文を出します。これらの投資家が評価すべき要因としては、予想されるVIXの方向性や、VIXの到達水準、そうした動きのタイミングなどが挙げられ、これらは株式市場(S&P 500)の動きに対する投資家の予想に基づいて評価されます。

投資家が先物を売買する際には、先物の満期日前に先物価格が変動することがあるため、場合によっては多大な損失を被るリスクがあります。


CBOEオプション

VIXのオプションは2006年に誕生しました。VIXのオプションを利用することで、投資家は株価の下落に対してポートフォリオをヘッジし、また、VIXの水準の変化から利益を狙うことが可能となります。

先物投資家と同じように、オプション投資家は各自の投資目標を達成するため、将来におけるVIXの方向性や、またそうした動きのタイミングなどを予想する必要があります。

仮にS&P 500が下落すると予想される場合、投資家はVIXのコール・オプションを購入します。仮に株式市場が下落し、VIXオプションがイン・ザ・マネーとなった場合、投資家はイン・ザ・マネーのオプションを権利行使し、利益を上げることができます。または、投資家がVIXの方向性を正しく予想することができた場合、オプションの満期日前に取得価格以上の価格でオプションを売却し、収益を得ることも可能です。一方、S&P 500が上昇すると予想される場合、投資家はVIXのプット・オプションを購入します。仮に株式市場が上昇した場合、投資家は満期日にオプションを行使するか、または満期日前にオプションを売却して収益を得ることもできます。

VIXのオプションを購入する際の最大のリスクは、仮に投資家がVIXの方向性や、VIXの変化のタイミングを正しく予想することができなかった場合に、オプション購入時に支払ったプレミアムを失う可能性があるということです。市場の不安定感が強い時期や、ボラティリティが高まっている局面では、このプレミアムが急騰する場合があります。一方、オプションの売り手はオプションの買い手よりも大きなリスクを負っています。仮に、売ったオプションが権利行使された場合には、オプションの売り手は決済価格を支払う義務が生じます。こうした損失を回避するため、オプションの売り手は満期日前にオプションを買い戻すこともできます。


VIXネットワークのメンバー

VIX®ネットワークとは、取引所や指数プロバイダーから成る団体であり、投資家によるボラティリティの理解・測定・管理を支援するための基準を定めることに尽力しています。ネットワークのメンバーは、独自のボラティリティ指数を算出するためにVIXメソドロジーを利用する権利をCBOEやS&P ダウ・ジョーンズ・インデックスから取得しています。